『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)』感想(2周目以降)

エンドゲームも終わり2020年を迎えたというのに、映画館での再観賞の機会に恵まれました。

当時、私はまさかの、まだアイアンマンの1と2を見てなかったんですよ。

なので当然、「うーんどっちの言い分もわかるけど、キャップの意見に近いかな」とかの戯言をね。
思ってしまったワケです。

エンドゲームまで見た今、どっちの意見に近いかなんて、もう言えないなぁと思いました。

注意:エンドゲームまでのネタバレが含まれているので、まだ1周目の人は引き返してね

1.脆くて純粋なお調子者

チャーリー・スペンサーの母親は、きっとトニーの心に少しでも爪痕を残したかったでしょう。

私の息子を殺した罪を、死ぬまで背負えばいい。心の片隅に、息子の名前が刻まれればいい。

きっとあなたには、想いは届きはしないだろうけど。

と、思ってるでしょう。

ここまで響いてるとは、ド真ん中刺さってるとは、流石に思ってないと思います。

と、トニースターク…
世間のイメージよりもめちゃくちゃ繊細……!

チャーリーについて調べつくし、彼にしたことを受け止め、罪の意識を真摯に抱えるトニー・スターク。
ある程度はもう、「だって仕方なかった」「大事なのはこれから」と受け入れて、前に進むしかないじゃないですか。過去は変えられないんだから。

戦争を見て武器商人をやめ、ニューヨーク決戦を経て眠れなくなった男。

もし自分が何もしなかったことで誰かが犠牲になったら、自分のせいだと思う

ピーターの何がそんなに特別だったのか。今ならわかります。

彼ら2人に共通するのは、その純粋さ。
目の前で人の命が失われていくのを見ていられず、誰かを頼る前に自分がスーツを着てしまう。

ピーターに接触したのは能力の有能さだけではなく、正体を隠していたからではないだろうか。

トニーがちやほやされるのは功績ばかりで、その精神が世間から注目されることはありません。 派手に騒いで軽口を叩くエゴまみれのマスクの下に隠れ、人前には出さない繊細な素顔を持つ男。
ピーターとの共通点は最初から、確かにありました。

そして今回、その繊細さもエゴも、行動すべてが裏目に出てしまい、色んなものをガツガツ失ってしまったトニースターク。

まだシビルウォーなんて過程でしかないってことはわかってるけど、普通に辛れぇ…。

2.強く真っ直ぐな過去の男

一方で、世間からどんなバッシングを受けようとダメージを受けず、自分が正しいと信じる道だけをひたすら突き進むこの男。トニーの脆さと比較すると、抜群に心の強い男に見えました。

でも、思わなかった?

お前、バッキーにだけ過保護すぎない????

ソコヴィア協定に関する判断で冷静だったのは、トニーよりスティーブだったなと思います。
罪の意識や世間の目、仲間意識への感情論は抜きで判断をしていた。

でもバッキーに関しては、バッキー本人が戸惑うくらい私情全開でした(ヘリコプターを掴むな)

彼は結局、現代の人間にはなれなかった。

新しい人間関係を作り、今の世界を学ぼうとし、そしてシャロンとキスをして、ずっと前を向こうと努力をしているのは非常に良くわかるんですけども…。

エンドゲームで彼が出した最後の結論は、過去に戻って生きることでした。

このタイミングで亡くなったペギーに、スティーブは見た目以上に動揺していたのかもしれません。

ペギーがいなくなった今、もうスティーブに残されているのはバッキーだけ。バッキーは、最後に残ったあの時代の象徴でもあるのです。

トニーに「過去は変えられない」と言うスティーブ、マジでこんなん、この境遇でよく言えたなと思いません?

あんな結論を出すほどあの時代を愛していた男が、ずっと未来の世界のために命懸けで前を向いていた。

シビル・ウォーでの「過去は変えられない」の言葉は、こんなにも2人を追い詰めていた。

ずっと悩んできたトニー。背負ってきたスティーブ。
エンドゲームの過去旅行は、何よりのご褒美だったんだなぁ。

3.ソコヴィア協定を受けてのトニーとスティーブ

賛否両論。多くの人が関わるほど、賛も否も増えてゆきます。ここまで大事になれば、誰もを納得させる結論はなかったでしょう。

野放しの巨大なパワーが、多大な犠牲を出している。
アベンジャーズが居なかったら間違いなくもっと人は死んでいたけれど、犠牲を数で見るなんてサノスと同じです。トニーの言うとおり、これは受けるべき協定でした。

でもキャップの言うとおり、受けるとアベンジャーズは機能しなくなります。
協定は解決策ではなく、アベンジャーズの檻です。

鎖で繋がれたアベンジャーズはいつか、民衆を守れなくなる時が来ます。

ソコヴィア協定を蹴ったキャップ陣営。

「何と言われようが守ればいい。もう犯罪者でも自警団でも何でも呼ぶがいい」という開き直りが見えます…ソコヴィア協定出されたせいで、余計に自由になっちゃったなコイツ…

捕縛メインのスパイダーマンに対して、アントマン呼んでめちゃめちゃさせてるのちょっと笑ってしまった

同じ目的なのに、やり方が全然違う…

うーん、正解がない。
全員が加害者でありながら被害者でもあるシビルウォー、正面切って誰の選択も責められない。

スティーブがキャプテンアメリカのコスチュームのままで私情もりもりに動いていたのは、ヒーローとしての意思決定は自分の意思決定と同じものであるという主張なのだと思います。

スティーブの判断は、キャプテンアメリカの判断でもある。
ガリガリの頃から彼は変わりません。スーパーパワーではなく、一人一人の人間の中にヒーロー性を見出している男です。

そうやってヒーローと自分を切り離さずに生きてきたスティーブは、最後に自らその肩書きを下ろし、盾を譲り、ヒーローを引退した。

一方で全てのスーツを捨て、協定に同意し、ずっとヒーローと私生活を切り離そうとしてきたトニーのほうが、アイアンマンを名乗り、ヒーロースーツを着たまま生涯を終えた…

エンドゲームの後に見るシビル・ウォー、まじでエモいぞこれ…。

4.彼らについてきたヒーロー達の選択

エンドゲームを見た後にこの作品を見て、本当に一番私の心に来たのはナターシャでした。

アベンジャーズは不器用でチームワークもないけれど、そこにヒーローとしての心があることを一番信じたのは、彼女で間違いありません。

彼女がどれだけアベンジャーズのために心を砕いてきたのか。彼女にとって、ここがどれだけ大事な場所だったのかは、こうやってずっと描かれてたんだよな。

エンドゲームで彼女を「冷蔵庫の女」呼ばわりし、「男たちを奮起させるための役割として殺された」と話題にした人たち、あなたたちがナターシャの何をわかってんねん!!!となった(半泣き)
ハーレイクインでも見てろ!!!(暴言)

死に方は、最後の生き方です。
トニーが最期までヒーローだったように、ナターシャはナターシャだからこそ、あの場所で命をかけました。彼女自身の選択です。

女だから死んだって言われるの、マジでひどくない?明らかにホークアイより強かったから死んでるんだよな

私もまだ彼女のルーツは知りません。
「ブラック・ウィドウ」を見たあとで、彼女についてはまた書きます。

ホークアイがキャップ側についたことはちょっと意外でした。

妻子持ちだし元傭兵だし、何かの管理下にいるほうがいいんちゃうかと思ったが…。

コイツ、クールな言動するし狙撃手だし、全体の状況を俯瞰で見れる知的でまともなヤツだと勝手に思ってたんですけど、なんか割とじっとしてられないイケイケオヤジなんですよね。

確かに目的以外のこと気にする奴なら、普通のオッサンが平気で化物に混じってないし、あんな自信満々にワンダ連れ出さねぇな…
「どのみち傷つくならやりてぇことやって傷つこうぜ!」みたいなイケイケ親父っぷりが、結果的にワンダのアイデンティティを上手く回復させただけ感ある。

うっかりするとローニンになってしまうこともわかったので、彼のありあまる行動力をヒーロー活動に向けておくには確かに、キャップ派閥ですね。
意外とこの人、俺様系のイカレ野郎だわ

あとは大体みんなの行動に納得いったけど、サムが謝るならヴィジョンも謝れやとはめちゃくちゃ思いました。

5.2つの核弾頭とイレギュラー

…まぁ加担したチームが勝っちゃうので…。

というかこんな繊細な話、この子たちが理解できるワケないので

幼児のケンカみたいな可愛らしいバトルロイヤルをきちんと二人でやってくれてよかったです!!(ケンカに理由なんていらねぇよな!!そうだな!!)

まぁ一応、「もし二人がいたらどっち派閥だろうか」というのを考えてみましたが…

大概地球にいなくて状況を把握してないソーが「地球人が助けを求めた時に駆けつけることができる」になるなら、アリ判断はあるかもしれないな。と思いつつも

パワーも性格も気位の高さも、そもそも他人が管理できるような存在じゃないな…と思う部分もあり、そもそもソーはどっちの派閥にも加わってくれない気がします。
「愚かな争いをする地球人たちだ」とか思いながら、座って美味しいものでも食べてて欲しい

ハルクはキャップにつくだろうし、バナー博士はトニーにつきそう。

やっぱり二人とも、居なくて正解かな…。

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あと、コイツ!!

状況わからずかき回しに来て、お前なにポカミスでトラック大爆破しとんねん!!
だから怒られるんやバカ

と思ってたけど、まさかエンドゲームで回収されると思わんかった。

お前は状況わかってない方がええ奴なんやな!!

MCU、先に進めば進むほど感想が変わるシーンがあるのが本当に面白いですね。

正直言って、シビルウォーってめちゃくちゃです

全員思うところがあって、でも全員動揺していて。みんなヒーローなのに人間らしくて、最悪の事態を起こしてしまう。
ブレない信念の激突ではない。
外からは見えない苦しみを人並みに抱えて、必死で過去を受け入れて前に進もうとしている。

「大いなる力は大いなる責任をともなう」。
まさしくヒーロー映画のテーマを突きつけられるこの回で、スパイダーマンを出してくるんですね。

と、まぁここまで書きましたが、本当に絶妙な映画だと思います。
トニー、スティーブ、どっちの気持ちもわかるじゃん。

どちらかの派閥に肩入れしている上で、素晴らしい考察をたくさん見かけました。
もうそれが、超楽しい。
実際のところ私が「どっちも悪くない、この映画は中立で見られてスゴイなぁ」とか呑気に言えてるのは、そもそも蚊帳の外にいるソーのモンペだからだろうな、と思います。ウフ
あなたの意見も是非、教えてほしいなぁ。

地球人って大変ね、ソーちゃん。
てか再上映のラインナップ、ソーにわりと厳しいね!

負けずにソーのウチワ持って劇場に通います。

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