アカデミー作品賞を逃した人種差別映画 -『ブラック・クランズマン(2018)』

「グリーンブック」がアカデミー賞を受賞したとき、スパイク・リー監督が席を立ち、授賞式から出ていこうとしました。

参考記事

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同じく黒人差別問題を描いた2つの映画がノミネートされていたのに、受賞したのが黒人の自分ではなく、白人が作った方の映画だったからです。

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1.アカデミー賞は白人だらけ?

長らく、アカデミー賞を受賞するのが白人ばかりだったことは確かです。どれだけ黒人が良いものを作っても、評価されずに来たという歴史があります。

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しかし2019年のアカデミー賞で主演男優賞を獲得したのはラミ・マレックであり、

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ブラックパンサーが3部門で受賞した年であり、

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そして何より人種差別を描いた「グリーンブック」が作品賞を受賞した年です。
助演男優賞を受賞したのも、ヴィゴ・モーテンセンではなく、黒人のマハーシャラ・アリでした。

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これでもまだ、アカデミー賞は白人偏重だと言われるのでしょうか?

2.作品賞が「ブラック・クランズマン」ではなかった理由

この映画は、「こんなことが現実に起こっているのです。どう思いますか?」という、見る者への問いかけでした。

一方でグリーンブックは、答えが出ていたのです。
「こんなことが現実に起こっています。」「そのなかで、彼らの答えはこうだったのだ」。

未だ解決していない問題に答えを出したところで、おとぎ話でしかない、という考え方もあるでしょう。
でも、スパイク・リー監督の「グリーンブックは白人目線の映画だ」という批判を受けて見るならば、この映画も出し抜かれるのは白人です。
黒人目線での私情が入りまくりだと思いました
(私個人は作り手の目線が入ることを、全く悪いことだと思っていませんが。)

3.虐げられた方が、敵を許さなくてはならない

デリケートな問題なので予防線を張りますが、私は関係ない国の日本人なので、人種の差という感覚には疎いです。
また、虐げられてきたほうの立場に追い討ちをかけたいわけでもありませんが、私は個人で人を見る必要があるのではないかと思います。

白人は優位だった側なので、段々差別心がなくなればそれでいいかもしれません。

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問題は黒人の方です。

黒人は個人で評価されず、人種でまとめて虐げられてきた。そのことに怒っているのに、その怒りは誰に向いているのか?

白人です。
人種に向いているのです。

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この映画で黒人は、意味なく振りかかる理不尽さをはねのける活動以上に、白人を敵対視していました。なんなら、同じ意見を持たない黒人も敵とみなしていました。

「人種でまとめられない、個人として生きられる世界」を作るためには、まず黒人が「白人全体への遺恨」を水に流すことができないと、関係は決して平らになりません。

虐げられてきたほうが、さらに我慢を要求される。
「お前ら白人はのんきでいいな!」って思うのは仕方ないと思うし、「白人が作った映画が評価された」という理由で怒り狂うリー監督、わかります。
虐げられてきた側としての怒りです。
その熱量を、はっきりと映画から感じました。

でもその熱量は人種という括りに縛られている。
私には、平和への糸口がそこにある気がしなかったのです。

4.映画を評価する基準

今回のアカデミー賞の結果を見て、そこに人種差別があると断言できるのでしょうか。
不当なのが明らかであれば是正されるべきでしょうが、あるかどうかわからないという現在の状態は、本当にデリケートだと思います。

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作品の出来、見た者の想い。
映画は、きっといろいろな側面から評価されています。
評価の基準が変わっているとはいえ、かつて白人偏重だった時代からの変化として、まだ白人が映画業界に多いという、数的な問題もあるでしょう。

ですが確実に、目に見えて賞は変化し、時代にあわせてきています。
この流れで「黒人だから選ばれなかった」と断言しての批判は一体、何を好転させるのでしょうか?

まだある差別をこの先牽制し、なくしていけるかもしれませんが、でもここは映画を評価する場です。

これだけの熱量をこめた作品を「黒人の受賞が少なくならないように」という理由で受賞させられたとして、スパイク・リーは本当に嬉しいのでしょうか?

アカデミー賞に差別がないなら純粋に作品としての負けでしょう。それに差別があったなら、そんな賞に評価される必要なんてないじゃん。

怒る必要、ありますか?
まぁ人間らしくていいけどね。

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「個人で仲良くなろうと、人種間の差はまだまだ埋まらない」という視点で、答えを出さなかったリー監督。

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「人種間の差はまだまだ埋まらなくても、個人でなら仲良くなれる」という視点で答えを出した、ファレリー監督。

同時期に実話をテーマにして白人と黒人が競いあうことになり、そしてどちらも面白いのは熱い時代だと思いました。

ただ白人が勝ったからと言って、公平な勝負でないとか言ってる場合じゃないぞ、スパイク・リー。

表現者として、次の作品で黙らせてほしいです。

日本のいち映画ファンの私には、作品が面白ければそれが正義です。
次回作を楽しみにしております。

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