サノスが選んだ勝利への道と、アベンジャーズが選ぶべき道 -『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)』

いやぁ、何回見ても勝てる気がしない。

アベンジャーズよりも強いサノスが、脇目を振らず、目的のために全てを犠牲にして戦っている。
それなのに、サノスより弱いアベンジャーズの方が、犠牲を出さないように気を付けながら戦ってるんですよね。

このままで、勝てるワケがない。


1.アベンジャーズはサノスに対して無力ではない

アベンジャーズは、サノスに対して全く歯が立たない訳ではありませんでした。
ブラックオーダーは順調に倒しており、ほぼ全員が敵陣営に何かしらのダメージを与えています。

それなのに、なぜこんなにも絶望感があり、勝てないでいるのか?
彼らのどこがサノスと違うのか?

味方を犠牲に差し出せず、石を渡してしまったロキとストレンジ。

愛するものを失った悲しみで作戦をブチ壊したスターロード、サノスを一撃で仕留められなかったソー。

ヴィジョンをギリギリまで生かそうとしたアベンジャーズ。


「他に道はなかった」

ストレンジは1400万506の未来を見てたった一つの道を知っているはずなのに、その道を選ばなかった。

つまり、そのたった一つの道は「選べる道ではなかった」
サノスを倒せる道は、誰かを犠牲にする道だったのでしょう。

2.サノスもこの世界を愛し、人を愛している。

サノスは単なる冷酷な悪ではなく、世界の平和のために行動し、愛する人を失うことで涙を流す敵です。行動原理は、アベンジャーズと同じです。
しかし、「志を持って行動している」のは、本人の言うとおりサノスだけ。

アベンジャーズ側に、「サノスを止めること」を最優先事項にできてる奴が一人も居ないのです。

この映画で、アベンジャーズはミスをしてしまったワケではない。

戦力的に全力を出した上で、人間としての判断をしているためにサノスに敗北しているのです。

アベンジャーズがサノスとの差を埋めてこの戦いに勝利するためには、犠牲を是としなくてはならない。
でも誰かの平穏のために別の誰かを差し出して、命を顧みず進んでいけるアベンジャーズになったとして、果たしてそれは、アベンジャーズだろうか?

それは最早、サノスと何が違うんだろうか。


3.アベンジャーズは、ヒーローである限り勝てない

彼らが守るために戦う「ヒーロー」であること。

今までの作品で「インフィニティストーンを狙ってない強い奴」をガンガン倒してきたことで、どんどんサノスが自由になったこと。

インフィニティウォーは、ヒーローとして進んできたアベンジャーズの10年を灰にする映画でした。
アベンジャーズは正しかったのか?実は、主人公はサノスだったのだろうか?
彼らがエンドゲームで向かい合わなければいけないのは、ヒーローとしての自分たち自身。アベンジャーズそのものなのだと思います。

余談ですが、

「ストレンジが石を渡したのはそれが結果的に唯一の道へ繋がる方法だったから」

というのをよく聞きます。

でもその場合、
ストレンジのみが「サノスを殺すこと」をすべてに優先できているたった一人のアベンジャーズであり、仮にサノスを倒せる道がトニーを殺すことだった場合は、彼はそうする
ということになってしまいます。

ストレンジだけが、ヒーローでなくなってしまうんですよ…。

「一人差し出せば全員が助かる」と言われたとき、サノスなら一人を差し出せる。
ヒーローたちは、たとえ結果的に全員が皆殺しになったとしても、絶対に一人を選び、差し出すことができない。

エンドゲームでアベンジャーズが出す結論を、楽しみにしています。

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